家具 転倒
9, 5月 2025
家具の転倒防止はどうする?家の中の安全対策

地震や大きな揺れが発生した際、家具の転倒は想像以上に大きな被害をもたらします。けがをしたり、避難経路がふさがれたりするだけでなく、最悪の場合は命の危険にもつながる重大なリスクです。特に寝室や子ども部屋など、人が長く過ごす場所にある家具は、万が一のときに倒れてくると非常に危険です。

そのため、家具の転倒防止はすべての家庭で意識すべき「日常の備え」といえます。本記事では、転倒を防ぐための基本的な考え方から、器具の種類や効果、住宅や家具のタイプに応じた対策方法、さらに迷ったときの対応ステップまで、わかりやすく解説していきます。自宅の安全性を高めるための第一歩として、ぜひ参考にしてください。

家具を固定するときに押さえたいポイント

家具を固定する際は、器具の種類や取り付け方だけでなく、「どこにどのように設置するか」がとても重要です。被害を最小限にするためには、家具の配置や設置環境に注意を払い、リスクの少ない空間づくりを意識する必要があります。

家具の配置でリスクを減らす

家具の配置を工夫することで、転倒によるけがや避難経路の妨げを防ぐことができます。特に注意したいのは、寝室や子ども部屋など長時間過ごす場所に背の高い家具を置かないことです。万が一の揺れで倒れてきた場合、下敷きになって命に関わる危険もあります。

また、家具の向きや設置場所も重要です。出入口付近や廊下に家具を置くと、倒れたときに通路がふさがれて避難が困難になる可能性があります。できる限り部屋の角や壁に沿って安定感のある配置を選び、重い家具は下の階に置くなど、家全体のバランスも意識しましょう。

普段は気にしない家具の位置が、いざというとき大きな差になります。家族の動線や生活習慣を考慮しながら、安全なレイアウトを見直すことが大切です。

壁や天井との隙間に注意

家具の転倒を防ぐためには、家具と壁・天井の隙間に目を向けることも重要です。隙間が大きいと、突っ張り棒や固定金具を取り付けても効果が発揮されにくくなります。特に天井との間に大きな空間があると、家具が揺れで前方に倒れやすくなります。

そのため、突っ張り型の器具を使う場合は、しっかりと上部が天井と密着する高さに調整しましょう。壁側に設置する場合も、家具の背面と壁の間に隙間があると、揺れの際に家具が振動して不安定になります。

必要に応じて、家具の背面にスペーサーを入れて壁に密着させたり、L字金具などで固定する方法も効果的です。日頃から家具の設置状況を見直し、わずかなすき間も見逃さず、安全な固定ができているかを確認することが、転倒防止の第一歩になります。

固定器具の種類とその効果とは?

市販されている転倒防止器具にはさまざまなタイプがあり、それぞれに特徴と得意な場面があります。このセクションでは、主に使われている代表的な器具と、その効果や注意点について詳しく見ていきましょう。

L型金具でしっかり固定

L型金具は、家具の背面を壁にしっかりと固定する代表的な器具です。家具と壁の両方にネジで取り付けるため、揺れによる倒壊を防ぐ効果が高く、最も確実な方法とされています。特に重量のある本棚や食器棚などには有効で、一度取り付ければ長期間安定した状態を保てます。

ただし、取り付けには壁の材質を確認することが大切です。石膏ボードなど柔らかい素材の場合は、専用のアンカーを併用するなど工夫が必要になります。また、賃貸住宅では原状回復の制約があるため、事前に管理会社に確認しておくと安心です。

設置の際は、家具の上部に金具を取り付けて重心を支えるのが基本です。壁との隙間をなくし、しっかりと固定することで、万が一の揺れにも動じない安全な環境をつくることができます。

突っ張り棒・ポールタイプの対策

突っ張り棒やポール型の器具は、天井と家具の間に設置して、上から支えることで転倒を防ぐ手軽な方法です。設置には特別な工具がいらず、高さを調節するだけで簡単に取り付けられるため、多くの家庭で利用されています。特に賃貸住宅や壁に穴をあけたくない方にとっては便利な選択肢といえるでしょう。

ただし、設置の際にはいくつか注意点があります。まず、家具と天井の間に十分な高さがあることを確認する必要があります。また、突っ張る力を正しく加えないと、地震の衝撃で緩んでしまう恐れもあるため、定期的な点検も欠かせません。

重い家具には補助的にL型金具を併用するのが理想的です。突っ張り棒はあくまで「支える」道具であることを理解し、状況に応じた使い方を心がけましょう。

ジェルマットや滑り止めシートの補助効果

ジェルマットや滑り止めシートは、家具の脚や底面に敷いて揺れによるズレを防ぐ補助器具として使われます。素材には粘着性があり、設置も簡単で、家具を動かさずに対策できる点が魅力です。特にテレビ台やチェストなど、比較的軽量で床に直置きする家具には効果を発揮します。

ただし、これらのアイテムは転倒を完全に防ぐものではなく、あくまで滑りを抑える「補助的な役割」にとどまります。そのため、高さのある家具や重い棚には、他の固定具との併用がおすすめです。また、時間の経過とともに粘着力が落ちることもあるため、定期的な交換や状態の確認が必要です。

見た目を損なわずに対策できるという利点もあり、小さなお子さまがいるご家庭にも安心の選択肢となります。

家具の固定に使える器具、どれを選ぶ?

家具の種類や家の構造によって、最適な器具は異なります。どれを選べばよいのか迷ってしまう方のために、住宅タイプや家具の性質に応じた選び方のポイントを整理しました。

木造住宅と鉄筋コンクリートでは使う器具が異なる

住宅の構造によって、使用できる固定器具の種類は大きく異なります。たとえば木造住宅の場合、柱や壁にネジを打ち込むことができるため、L型金具やプレートタイプの金具を活用しやすい環境です。これらは強度が高く、しっかりと家具を支えることが可能です。

一方、鉄筋コンクリート造の建物では、壁に穴を開けることが難しいこともあり、接着式の器具や突っ張り棒が適しています。特に、天井や壁の材質が硬い場合は専用のアンカーや接着剤タイプの固定具を選ぶ必要があります。

賃貸物件で原状回復義務がある場合も考慮し、壁に傷をつけずに取り付けられる方法を優先しましょう。住宅の材質を確認したうえで、それに合った器具を選ぶことが、効果的で無理のない転倒防止対策につながります。

収納家具やテレビ台などタイプ別対策

家具の種類によっても、適した固定方法は異なります。まず、背が高く重心が上にある収納家具や食器棚は、地震の揺れで前に倒れやすいため、壁にL型金具でしっかりと固定するのが基本です。加えて、突っ張り棒を併用すれば、さらに安定感が増します。

次に、テレビ台やローボードなど背の低い家具は、滑り止めシートやジェルマットで底面を支える方法が有効です。テレビ本体も、転倒防止ベルトで壁とつなぐことで飛び出しを防げます。チェストやカラーボックスなど中型の家具も、設置場所や床材に合わせて複数の器具を組み合わせると安心です。

各家具の特徴や設置状況に応じた対策をとることで、安全性が大きく向上します。1つの方法に頼らず、複数の手段を組み合わせることが効果的です。

迷ったときはどうすればいい?おすすめの対策ステップ

家具の転倒対策をしたいと思っても、「何から始めればいいのかわからない」と感じている方は少なくありません。そんなときは、無理なく取り組める3つのステップに分けて考えると行動しやすくなります。

まずステップ1は、「危険な家具の洗い出し」です。特に背の高い家具や重たい棚、寝室や子ども部屋にある家具は倒れた際の危険性が高いため、優先的に点検する必要があります。

次にステップ2では、「設置器具を選ぶ」ことが大切です。設置スペースや壁の材質、賃貸かどうかといった住環境に応じて適した器具を選び、すべてを一度に固定しようとせず、リスクの高いものから対応していきましょう。

そしてステップ3では、「取り付ける or 相談する」です。自力での設置が難しい場合は、地域の防災窓口に相談するのも一つの方法です。自治体によっては、設置に対する補助制度を設けているところもあります。迷ったときこそ、できることから一歩ずつ始めてみましょう。

まとめ

家具の転倒は、ちょっとした対策で大きなリスクを避けられる防災のひとつです。配置の見直しや、器具の導入、そして日々の点検といった基本的な行動が、家族の命を守ることにつながります。重要なのは、難しいことを一度に完璧にこなそうとせず、できるところから少しずつ取り組むことです。

固定器具を活用するだけでなく、住宅の構造や家具の特徴に合わせて方法を選ぶことで、より効果的な対策が可能になります。もし不安な点がある場合は、地域の防災窓口や専門業者に相談してみるのも有効です。安全な住まいづくりは、一人ひとりの行動から始まります。今日からできる小さな一歩を、ぜひ実践してみてください。